<目的> 若者の子宮頸がん予防対策の向上のために大規模な実態調査を行い、子宮頸がん検診に対する環境・条件等の要望を明らかにする。さらにその要望を取り入れた検診体制を構築・実践し、受診行動に導く検診体制について検討することを目的とする。 <方法> 平成27年度本学小白川キャンパスで定期健康診断を受診した女子学生を実態調査の対象とし、無記名式アンケート調査を実施する。調査内容は、①子宮頸がんに関する知識・意識②検診受診歴・契機③未受診の要因④検診環境・条件に関する要望等とした。さらに調査結果を基に学生達が望む検診体制を整備し、当キャンパス内での子宮頸がん検診の機会を提供する。受診者は、当キャンパス所属学生の希望者とする。受診体制を評価するために受診時と受診後に調査を行う。得られたデータは、統計ソフトSPSS Vol.19で解析する。 また、本研究は本学医学部倫理審査委員会で承認を得て遂行した。 <成果> 実態調査対象者(1665名)のうち回答が得られた中から解析対象者を18歳から22歳とした(n=1527名、平均年齢 : 19.06±1.27歳)。学生らが望む検診環境は、①時間 : 休日(長期休み含)の昼の時間帯②検診場所 : 大学内または医療機関③費用 : 無料または低価格④医師 : 女医⑤検診スタッフ : 全員女性(受付のみ男性可)であった。また、当保健管理センター内での検診を希望する者は、86.9%であった。この結果を基に、検診業者へ委託し当保健管理センター内(検診車内)で検診を実施した。受診希望者85名に対して検診に対する不安を軽減するために事前指導を行い、検診当日の問診結果より受診した学生は63名(初めて受ける者 : 47名)であった。受診者に対する検診時の調査結果より、今回受診した理由は「無料」(93.3%)、「学内で受診可能」(86.7%)が多かった。検診後の調査では、今回提供した検診環境や事前説明等について90.0%が適切・問題なしと回答し、全員が今後も受診したいと回答した。以上より、受診しやすい環境を提供し受診させることや初回検診を好印象にすることは、今後の定期検診受診意志へと繋がり、意識改革が図れるものと考えられる。
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