研究課題/領域番号 |
15H02177
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
茶谷 直人 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30171953)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
43,550千円 (直接経費: 33,500千円、間接経費: 10,050千円)
2017年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2016年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2015年度: 21,190千円 (直接経費: 16,300千円、間接経費: 4,890千円)
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キーワード | 分子活性化 / 炭素-水素結合活性化 / 炭素-酸素結合活性化 / 炭素-炭素結合活性化 / 炭素-硫黄結合活性化 / 炭素-窒素結合活性化 |
研究実績の概要 |
①炭素-水素結合活性化:様々な形式の炭素-水素結合変換反応が報告されているが、炭素-炭素結合生成反応に限定した場合、アリール化、アルキル化、アリル化、ベンジル化に比べてメチル化の報告例が少ない。メチル基を一つ導入するだけで、生理活性や物性が大きく変わることは、Methyl Magic Effectとして知られている。27年度は、二つの形式の新しいメチル化反応を見いだし、投稿することができた。Ni(0)触媒存在下、4級アンモニウム塩(PhMe3NI)をメチル化剤として用いた炭素-水素結合のメチル化反応を見いだした。PhMe3NXと様々な求核剤とのクロスカップリングでは、Ph-N結合が切断し、フェニル化が起こる。しかし、本反応では、メチル化のみが選択的に進行することがわかった。さらに、dicumyl peroxideを用いてもメチル化が進行することがわかった。4級アンモニウム塩の反応と同様、ホスフィン配位子は必須である。ラジカル捕捉剤の存在下では、反応は全く進行しないことからラジカルの発生を含んでいると思われる。 また、配向基に依存しない白金触媒によるベンゼン環炭素-水素結合のボリル化反応の開発にも成功した。位置選択性は、置換基の立体効果に影響を受けるが、フッ素置換基があるとフッ素原子の隣接位で反応が進行する。 ②炭素-酸素結合の活性化:ニッケル触媒によるアニソールの炭素-酸素結合の活性化を経る反応をすでに見だしているが、解決すべき問題点の一つが、単環のアニソールには適用できないことであった。しかし、シクロヘキシル基あるいはアダマンチル基を有するN-ヘテロ環カルベンが有効であることを見いだした。この結果、基質の適用範囲が拡大しただけでなく、今まで使えなかった求核剤の適用範囲も広がった。 ③炭素ー硫黄結合の活性化:炭素-硫黄結合の切断を経るジベンゾチオフェン合成の開発にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今まで、二座配向基に限定されていたニッケル触媒による芳香族アミドの炭素-水素結合の活性化が、単純な芳香族アミドでも進行する系を見いだすことができた。この結果は、偶然の発見であるが、更なる、展開が期待される。また、予備的実験であるが、炭素-水素結合がノルボルネンにエンド付加するという珍しい反応を見いだした。今までは、エンド選択的付加は、限定された例が1例知られているだけである。 アニソールの炭素-酸素結合の活性化では、N-ヘテロ環カルベンの構造が反応性に大きく影響することが分かった。特に、シクロヘキシル基やアダマンチル基の反応性が高い。また、今まで適用することができなかった直鎖のグリニア試薬も使えることなど、予想もしなかった系に発展されることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予想以上に進展していることから、このまま予定通りに研究を推進する。
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