研究課題
基盤研究(A)
ネムリユスリカ等の耐乾燥生物が発現する天然の乾燥保護物質であるLEAタンパク質やトレハロースの機能発現メカニズムをin vitroの実験と計算機シミュレーションにより調べた。その結果、これらの保護剤は、分子シールディングメカニズムによりタンパク質や細胞膜の乾燥破壊を未然に防ぐとともに、一度破壊された構造の修復を助ける分子シャペロンとしても働くことが判明したネムリユスリカの乾燥耐性メカニズムを解明するため、gain-of-function実験系の構築と loss-of-function実験系の構築(CRISPR/Cas9システムの構築)に成功した。
細胞、タンパク質、遺伝子などの生物資源は、通常、低温あるいは凍結条件下で保存されている。これには莫大なエネルギーコスト、停電リスクが伴う。近年、特に3.11震災以来、これらの生物資源を扱う研究者や医療・医薬関係者は、この非常事態への対策に迫られている。本研究の成果によれば、LEAペプチドやトレハロースを用いることにより、タンパク質(タンパク質製剤含む)やリポソームを利用したドラックデリバリーシステムの常温乾燥保存が可能となると期待される。ネムリユスリカ細胞のゲノム編集が可能になったことにより、乾燥耐性メカニズムの基礎研究が今後より発展すると期待される。
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