プロピレン重合触媒を活用する精密有機合成

• 研究課題/領域番号: 15H03807
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 合成化学
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円); 2017年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円); 2016年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円); 2015年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
• キーワード: 有機化学 / プロピレン / オリゴマー化

研究成果の概要

プロピレンを立体規則的に重合させるための触媒を活用し、Deoxypropionate構造を短段階で構築することに成功した。すなわちメタロセン触媒を用い、開始剤としてのジアルキル亜鉛から出発して高立体特異性を有するプロピレンのオリゴマーを得た。生成物は酸化後、逆相高速液体クロマトグラフィーによって異なる鎖長を有するアルコールを分離できた。この際、イソタクチックポリプロピレン重合用のC2対称触媒ではall-syn、シンジオタクチックポリプロピレン合成用のCs対称触媒ではall-anti構造のオリゴマーが得られた。C2対称触媒を光学分割して用いると、単一のエナンチオマーが99％以上のeeで得られた。

研究成果の学術的意義や社会的意義

単離したall-synオリゴマーは灰色ガンの油脂の主要成分である（2R、4R、6R、8R）-2,4,6,8-テトラメチルデカン酸合成に、all-antiオリゴマーは昆虫Antitrogus parvulusラのホルモンの合成中間体である、rel-(2R,4S,6R,8S)-2,4,6,8‐テトラメチルウンデカン‐1‐オール合成に用いることができた。これらの化合物の生合成経路がプロピオニルＣｏＡによって媒介されるクライゼン縮合であることを考慮すると、本合成はビルディングブロックとして同じＣ ３単位を使用しており、同時に得られる他のオリゴマーは生物学的活性を発現し得る。

研究成果

• [雑誌論文] Single-Step Construction of the anti-Deoxypropionate Motif from Propylene: Formal Total Synthesis of the Cuticular Hydrocarbons Isolated from Antitrogus parvulus (2018)
  • 著者名/発表者名: Murayama Toshiki、Nozaki Kyoko
  • 雑誌名: Angewandte Chemie International Edition 巻: 57 号: 35 ページ: 11394-11398
  • DOI: 10.1002/anie.201804711
  • 査読あり
• [雑誌論文] One-step catalytic asymmetric synthesis of all-/syn/deoxypropionate motif from propylene: Total synthesis of (-)tetramethyldecanoic acid (2016)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Ota, Toshiki Murayama, Kyoko Nozaki
  • 雑誌名: Proc. Nat. Acad. Sci. USA 巻: 113 号: 11 ページ: 2857-2857
  • DOI: 10.1073/pnas.1518898113
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [学会発表] Single-Step Construction of Deoxypropionate Motif by Stereospecific Propylene Oligomerization. (2018)
  • 著者名/発表者名: Toshiki Murayama, Yusuke Ota, Kyoko Nozaki
  • 学会等名: The Ninth International Forum on Chemistry of Functional Organic Chemicals (IFOC-9)
  • 国際学会
• [学会発表] Development of stereospecific propylene oligomerization toward single-step synthesis of deoxypropionate motif. (2018)
  • 著者名/発表者名: Toshiki Murayama, Yusuke Ota, Kyoko Nozaki
  • 学会等名: 28th International Conference on Organometallic Chemistry (ICOMC 2018)
  • 国際学会
• [学会発表] Single-step synthesis of deoxypropionate motif in natural products by (2017)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 日本化学会第98春季年会
• [学会発表] プロピレンのイソおよびシンジオ特異的オリゴマー化によるデオキシプロピオナート構造の構築 (2017)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 第7回CSJ化学フェスタ2017
• [学会発表] プロピレンのイソおよびシンジオ特異的オリゴマー化によるデオキシプロピオナート構造の構築 (2017)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 第64回有機金属化学討論会
• [学会発表] プロピレンの不斉オリゴマー化を利用したデオキシプロピオナート構造の構築と（-）-テトラメチルデカン酸の合成への応用 (2016)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 第109回有機合成シンポジウム
  • 発表場所: 東京工業大学 東京都目黒区
  • 年月日: 2016-06-08
• [学会発表] デオキシプロピオナート構造の1段階構築による(2R,4R,6R,8R)-2,4,6,8-テトラメチルデカン酸の合成 (2016)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 日本化学会第96春季年会
  • 発表場所: 東京工業大学 東京都目黒区
  • 年月日: 2016-03-24
• [学会発表] 7.デオキシプロピオナート構造の構築に向けたプロピレンの不斉オリゴマー化 (2016)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 第63回有機金属化学討論会
• [学会発表] 16.One-Step Catalytic Construction of Deoxypropionate Motif by Propylene Oligomerization. (2016)
  • 著者名/発表者名: Murayama, T., Ota, Y., Nozaki, K.
  • 学会等名: 20th International Symposium on Homogeneous Catalysis (ISHCXX)
• [学会発表] 24.プロピレンの不斉オリゴマー化を利用したデオキシプロピオナート構造の構築と(-)-テトラメチルデカン酸の合成への応用 (2016)
  • 著者名/発表者名: 村山 駿輝・太田 祐介・野崎 京子
  • 学会等名: 第109回有機合成シンポジウム
• [備考] 野崎研究室ＨＰ
  • URL: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nozakilab/
• [備考]
  • URL: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nozakilab/publication/index.html
• [備考] 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻野崎研究室
  • URL: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/nozakilab/