研究課題
基盤研究(B)
本研究では、酸化物バイクリスタル(双結晶)を高温接合により合成し、意図的に配列させた界面転位部に、機能元素を閉じこめる方法によって、結晶固体中に量子細線を形成および量子効果による新機能発現化を目的とする。MgOバイクリスタル粒界界面の微細構造解析には、TEMおよびSTEMを用いて行った。断面観察用試料はアルゴンイオンスパッタ法により作製した。汎用TEM(加速電圧:200kV)を用いて低倍観察、高分解能観察および制限視野電子回折図形(SAED)解析により界面の微細構造や結晶方位関係について詳細に観察を行った。接合角度について、SAEDパターン解析及びHRTEM像解析により評価した。界面の原子微細構造解析には収差補正装置を搭載し、電子線プローブサイズを0.1nm以下に収束可能な走査透過電子顕微鏡を用いた。この原子分解STEM観察では、高角環状暗視野(HAADF)像法により、構成材料の原子番号に起因したZコントラスト像による優れた組成識別能と、原理的に極めて高い原子直視性が得られる。そのため、界面の識別や組織構造の差異が可能である。また、STEMの収束ビームと電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせることによって、原子スケールでの材料組成マッピングを試みた。さらに、転位芯近傍の原子の化学結合状態分析を電子エネルギー損失吸収端微細構造(ELNES)によって解析した。一方、構造像や組成マッピングから得られた構造モデルを用いて、第一原理による電子状態の理論計算も行った。計算には、密度汎関数理論(DFT)に基づくVienna ab initioシミュレーションパッケージ(VASP)を用いた。電子-イオン相互作用を考慮して、Projector Augmented Wave Methodを用いた。構造緩和計算には共役勾配アルゴリズムを用いて行い、安定構造をシミュレーションした。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Nature Communications
巻: 6
Nano Letters
巻: 15 ページ: 6469-6474