研究課題
基盤研究(B)
本研究課題は、サリドマイド催奇性の発症メカニズムを分子レベルで解明するため、催奇性を発症しないげっ歯類と発症するゼブラフィッシュおよびヒトとの間で基質受容体セレブロン (Cereblon; CRBN)のサリドマイド結合ポケットを構成するアミノ酸の違いを限定し、催奇性発現に関わる部位に対する結合様式を修飾することで副作用を回避し、抗がん効果等の主作用を保持した新薬の開発に直結する基礎データを得ることを目的とする。計画としては、これら3種間で違いのあるアミノ酸をセレブロンの薬剤結合ポケットの高次構造に影響すると思われる観点から限定し、それらの単一または組み合わせで変異を挿入したセレブロン遺伝子をゼブラフィッシュ胚に導入、サリドマイドに抵抗性を発揮する個体を生み出す変異セレブロンをスクリーンするという内容である。これにより、ヒトの催奇性に関与する特定のアミノ酸が同定できると期待される。その過程で、薬剤効果を特異的かつ明瞭にする「予定片側(左側)胸ヒレ領域のみへのサリドマイドの顕微注入」「予定片側胸ヒレ領域のみへの変異型セレブロン遺伝子のin vivo lipofectionを用いた発現」「予定片側胸ヒレ領域のみへのサリドマイド注入と変異型セレブロンの発現による限定作用点での薬剤結合と催奇性発現の解析」「胸ヒレ形成を可視化するFli1aトランスジェニック個体を用いた効率的スクリーニングと胸ヒレ形成マーカー遺伝子によるin situ hybridization」「ヒト化ゼブラフィッシュの作成によるヒト型セレブロン環境下での変異効果の評価系の確立」等の新規かつ有効なアプローチ系を開発し、研究のスピードアップを実現した。これらの努力と工夫により、セレブロンのサリドマイド結合ポケット内の単一、望ましくは2つのアミノ酸の置換が催奇性を回避するに有効であることを明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Nature Chemical Biology
巻: 15 号: 11 ページ: 1077-1084
10.1038/s41589-019-0366-7
Scientific Reports
巻: 8 号: 1 ページ: 1294-1294
10.1038/s41598-018-19202-7