研究課題/領域番号 |
15H04880
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402)
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研究分担者 |
松下 正 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (30314008)
國島 伸治 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), 高度診断研究部, 室長 (60373495)
西中村 隆一 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (70291309)
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
安彦 行人 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究員 (40370944)
菅野 純 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 部長 (90186172)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2016年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2015年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | podocyte / myosin IIA / Epstein syndrome / nephrotic syndrome / ネフローゼ症候群 / 巣状糸球体硬化症 / podocytc / Myosin IIA / Epstein症候群 |
研究実績の概要 |
本年度は足細胞特異的にR702変異myosin IIAを発現するマウスの作成を中心に研究を行い、以下のような成果を得た。 名古屋大学より供与されたMYH9-R702Cneo♂マウス精子と京都大学医学系研究科・横井秀基先生より供与されたNPHS2-CreERT2♀マウスの卵を用いて人工授精し、仮親に移植した。NPHS2-CreERT2/MYH9-R702Cneoダブルヘテロ5匹、MYH9-R702Cneoシングルヘテロ4匹、野生型14匹の♂マウスが得られ、これらをそれぞれ2群に分けた上、生後4週齢にて1群に4-hydroxytamoxifen (4-OHT)腹腔内投与(0.5mg/匹、3日連続投与)を行った(参考文献1)。投与後4週間目より毎週1回、代謝ケージを用いて24時間尿を回収し、SDS-PAGEによりアルブミンのバンドを観察してその濃さによりタンパク尿を評価した。NPHS2-CreERT2/MYH9-R702Cneoダブルヘテロマウス・4-OHT投与群にのみ、投与後5週目より有意な蛋白尿が観察され、10週目には明瞭、17週目には極めて顕著となった。投与後11週目に各群1匹、18週目に残余の動物を屠殺し、腎臓を光学顕微鏡および電子顕微鏡観察のためサンプリングした。11週目に採取した腎臓の組織を用いて免疫組織学的な解析を行い、スリット膜分子(ネフリン)のシグナルの低下とミオシンIIAの糸球体係蹄に沿った束状の集積がNPHS2-CreERT2 / MYH9-R702Cneoダブルヘテロマウス・4-OHT投与群にのみ観察された。同じマウスの腎組織を電子顕微鏡で観察したところ、足突起の消失に伴う足細胞の扁平化とスリット膜の消失が顕著であり、扁平化した細胞の基底側にアクチン線維が束状に集積していた。さらに、一部の細胞では尿腔側で細胞質の断片化が起こっておりアポトーシスに類似した形態変化を示した。以上のことから、足細胞特異的にR702変異myosin IIAの発現を後天的に誘導することにより、細胞骨格系の制御機構が変化することで足細胞の形態変化を引き起こし、糸球体濾過機能が低下した結果、蛋白尿が検出されたと考えられた。 参考文献1 : Yokoi et al., Nephrol Dial Transplant 2010
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はR702変異myosin IIAが正常な足細胞に発現されることでどのような変化が起こるかを明らかにするために、MYH9-R702Cneo♂マウスとNPHS2-CreERT2♀マウスを掛け合わせてダブルヘテロマウスを作成し、マウスが出生後に変異ミオシンの発現をタモキシフエンで誘導する系を確立することを中心に研究を進めた結果、変異ミオシンの発現を誘導したマウスでのみ蛋白尿が検出され、さらに形態学的な変化を捉えることに成功した。この成果は世界で初めてin vivoで変異ミオシンが足細胞に及ぼす影響を捉えたものである。このモデル動物の系を用いることで変異ミオシンの発現によりin vivo足細胞においてどのような機能上変化が起こっているかを分子レベルで明らかにしていくことが可能となり、病態の詳細な解析と治療薬開発にも多大な貢献をするものと期待される。
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