研究課題
基盤研究(B)
iPS細胞由来血管細胞移植グラフト(組織化人工血管)開発にあたり、まずヒトiPS細胞を用いた三次元バイオマテリアル心臓組織作製において心筋細胞に血管内皮細胞などの血管構成細胞を加えることでその組織成熟度、機能が向上することを確認した(Masumoto. Sci Rep 2016)。これは血管構成細胞の重要な役割を示しており、組織化人工血管作製研究の基礎となりえる。次に、マイクロRNA導入によるiPS細胞由来血管内皮細胞の動脈化を目指したフェノタイプ制御実験に先立ち、ウサギ血管内膜肥厚モデルにおいてマイクロRNA導入法の効果を検証した。このモデルは、バルーンカテーテルを用いて内皮を擦過損傷した頚静脈グラフトを頚動脈に置換移植し、また末梢頚動脈分枝を結紮することで作製される。この頚静脈グラフトにマイクロRNAを導入するにあたり、従来はエレクトロポレーション法を用いてきた。しかしながら、今回PLGAを用いることで、マイクロRNAを溶解したリン酸緩衝生理食塩水に頚静脈グラフトを浸漬するのみでマイクロRNAを効率的に導入する方法を確立した。さらにこのマイクロRNA導入頚静脈グラフトを頚動脈に置換移植することで、その内膜肥厚が抑制されることを確認した。このことはマイクロRNAの導入にウイルスベクターを必要としないということだけでなく、特定の遺伝子導入機器を必要とせず、簡便な方法を確立できたということを意味する。さらに、今後予定しているiPS細胞由来内皮細胞を用いた組織化人工血管を用いた動物実験においてもこの方法を応用できると期待できる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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