研究課題
若手研究(A)
超伝導における秩序パラメーターの揺らぎに相当する集団励起モード、いわゆるヒッグスモードの性質を、高強度テラヘルツパルスを用いた非線形光学応答を駆使して詳細に調べた。従来型s波超伝導体の非線形テラヘルツ応答にはヒッグスモードが支配的に寄与していることを証明し、BCS平均場近似を用いるとヒッグスモードの寄与を一縷しく過小評価してしまうことを示した。また強い定常電流下においてヒッグスモードが光学活性化し線形応答においても観測されることを示した。さらに銅酸化物高温超伝導体に注目し、d波超伝導のヒッグスモードの観測に成功したほか、非平衡ジョセフソンプラズマ共鳴の解釈について新たな知見を得た。
超伝導は素粒子物理と極めて高い類似性を持つことが古くから知られ、その研究の発展は物理学全体に大きな影響を及ぼしてきたが、ヒッグス粒子に相当する集団的振る舞い(ヒッグスモード)は、普遍的現象であるにも関わらずこれまでほとんど調べられていなかった。高強度テラヘルツパルスによる最先端光学測定を用いた我々の研究によって、超伝導ヒッグスモードを観測する実験が実現し、様々な超伝導体においてその性質が明らかになった。
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