研究課題
若手研究(A)
ヘリウムプラズマ照射によってタングステン表面に誘起される繊維状のナノ構造「ファズ」に関して、シミュレーションによる形成機構を解明に取り組んだ。本現象を扱う為に新しい手法開発に注力し、BCA-MD-KMC三連ハイブリッド法の開発、不純物原子の経路自動探索法の開発、分子動力学のポテンシャルコードを数式から自動生成するメタコンパイラの開発などを行った。これらを駆使し、ファズの成長をシミュレーションで再現する事に成功した。成長メカニズムとして、ヘリウムバブルの破裂の後に、スパッタリングと再堆積現象が繰り返されることがタングステン原子の輸送を引き起こしているという全く新しいメカニズムを発見した。
本研究を通じて開発されたBCA-MD-KMCハイブリッド法は、原子レベルの計算のまま100秒までの照射現象をシミュレート可能にした画期的な手法であり、プラズマと固体物質の界面現象(プラズマ物質相互作用)に対して広く応用可能な手法である。産業界では半導体プロセスや薄膜コーティングに展開可能で、成功すれば飛躍的な製品開発の向上に繋がる可能性があり、現在は産学連携研究を展開中である。また、動的モンテカルロの経路探索法やメタコンパイラも、プラズマ・核融合分野以外での物質材料シミュレーションに広く展開可能なもので、今後の分野融合的発展が期待できる。
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