研究実績の概要 |
本研究は、2つの癌抑制性long non-coding RNA(lncRNA)であるDRAICとPCAT29の発現様式と分子機構の詳細を明らかにすることを目指す。我々はRNA-seqを用いた解析によって、前立腺癌細胞の浸潤能を抑制する新規lncRNA、DRAICを同定し報告した。興味深いことに、DRAIC遺伝子座の下流に位置する別のlncRNAであるPCAT29遺伝子も、DRAICと同じ分子機構によって転写され、同じ癌抑制活性を有する。 本研究ではまず、前立腺癌のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織におけるDRAICの発現を解析した。一般的にnon-coding RNAは発現量が低く、検出が困難なことが多いが、我々が開発した高感度in situ hybridization法は、低発現のRNA分子であっても検出可能である(Sakurai K. et.al. Cancer Research, 71(5): 1680-9, 2011)。約80症例の前立腺FFPE組織を用いてDRAICの検出を試みたところ、非腫瘍部と比較して、前立腺癌においてDRAICの発現は低下する傾向がみられた。DRAICとPCAT29の発現との比較、Gleason scoreとの相関性については現在解析中である。今後は細胞株も用いて、DRAICとPCAT29が浸潤能を抑制する分子機構についても詳細に解析していく。
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