研究実績の概要 |
Molecular inversion probeを用いて、ゲノム中のターゲット領域を濃縮するためのプロトコルについて検討を行った後、日本人統合失調症ケースコントロールサンプルを用いて、SETD1Aのターゲットシーケンシングを行っている。現在までに約2,000サンプルからデータを取得しており、現在データ解析を進めている。その中で、先行論文(Takata et al., Neuron 2014)で報告したスプライスサイト変異(c.4582-2_4582-1 del2)と、全く同一の変異を有する症例を一人同定した。この変異については、最近の報告(Singh et al., Nature Neuroscience 2016)でも複数の患者で同定されており、そのアレル頻度が極めて低いことを鑑みると、人種を超えて生じるRecurrent de novo mutationである可能性が高いと考えられる。また健常対象者では、現在までに機能喪失型の変異を認めていない。c.4582-2_4582-1 del2変異を有する症例の追跡は、Informed consentの内容から行うことができなかったため、De novo変異であることを確認するための両親のゲノムを用いた解析等は行うことができていない。 平成28年度の本研究に対する科研費は、他の研究計画の採択にともなって返上予定であるが、理化学研究所のチーム研究費などを用いて、研究の完遂を目指したい。
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