研究実績の概要 |
船舶における空気潤滑法の効率向上が本研究の目的である.昨年度では気泡注入を周期的に行うことで人工的なボイド波を乱流境界層に与えて空気潤滑法の抵抗低減を促進させる反復気泡注入(Repetitive bubble injection, RBI)を提唱し,その実用性の立証に注力した.RBIを有効的に使用するためには,ボイド波の発達・成長過程に合わせた制御が必要である.ボイド波の発達・成長過程を理解するため,既存の連続気泡注入(Continuous bubble Injection, CBI)における自然に成長するボイド波について,二つの実験を用いて調べた. <CBIにおける自然発達ボイド波計測> RBIは気泡が移流する際に生じる気泡の粗密分布(クラスター)を積極的に利用する技術である.RBIを船舶に適用するためには,外部流れにおけるクラスターの生成有無を確認する必要がある.そのため,4mの平板境界層をもつ模型船を用いて,気泡の挙動を実験的に調査し,周期的に流れる気泡クラスター(ボイド波)を確認した.このボイド波は摩擦抵抗低減と因果関係があると予想されるため,二流体モデルを用いて,その関係を理論的に示した. <気泡間相互作用の基礎研究> 気泡クラスターは複数の気泡が移流する際に気泡間の相互作用により生成されると仮定し,その相互作用を理解するため,フランスのIMFTのRoig教授の協力を得て,チェインバブルを用いた基礎実験を行った.ここで,チェインバブルは同一の軌道をもって一列に並んで上昇する気泡列をいう.IMFTに訪問し,一か月間チェインバブルの実験を行った.厚さ1mmの水槽の底面に設置したキャピラリーチューブで一定流量で空気を注入すると,チェインバブルが形成されるが,流量が増加すると,気泡間の相互作用によりクラスターが形成される.現在,挙動気泡を分析し,Roig教授と議論をしている.
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