研究実績の概要 |
本年度は、①機械学習により、アンモニアボラン(AB)-金属複合物質の水素放出温度を予測した。ABと51種類の金属種の複合物質の水素放出温度(実験値)、金属種の物性値、添加量、ミリング時間等を用いてデータベースを作製した。データベースはサポートベクターマシンにより学習させ、AB-CuCl2複合物質の放出温度の予測を試みた。結果、機械学習の予測温度域は実験値と一致し、放出温度低下のためのCuCl2添加量のしきい値が8-9mol%であることが分かった。よって、機械学習により、金属種の最適添加量を予測できる可能性が示された。本テーマについて、国内学会(1件)と国際誌(1件)での発表を行った。 また、②AB-ナトリウムアラネート(NaAlH4)の複合物質を作製し、その局所構造、水素放出特性、放出プロセスについて調査した。ABとNaAlH4をモル比4:1でミリングすることにより、Na[Al(NH2BH3)4]が生成することが判明した。構造調査より、Na[Al(NH2BH3)4]は、NaBH4固相とAl,N,B,Hを含む固相(非晶質)に分解することが判明した。Na[Al(NH2BH3)4]は260℃までに2段階の水素放出反応があり、1段階目では副生成ガスも発生したが、2段階目ではその発生は抑制された。また、モル比1:1の複合物質では、ミリングの雰囲気(ArまたはH2)により、反応経路が変わることを明らかにした。このように、AB-NaAlH4複合物質の水素貯蔵物質としての特性や放出反応の経路について、知見を得た。本テーマについて、国際学会(2件、うち1件招待講演)と国際誌(1件)での発表を行った。
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