研究課題
特別研究員奨励費
1.研究目的LiNbO3薄膜結晶リッジ導波路型擬似位相整合第2高調波発生(QPM-SHG)デバイスの実現のためにイオンスライスLiNbO3薄膜結晶への周期分極反転構造・強光閉じ込めリッジ導波路の作製を行った.2.イオンスライス結晶における周期分極反転構造形成これまでLiNbO3薄膜結晶に周期分極反転構造を形成する際には,上部電極/薄膜結晶/絶縁層/基板結晶/下部電極という構造で電圧印加を行っていたため,分極反転電荷を検出することができず作製結果の再現性に乏しかった.そこで本研究では,SiO2光学バッファ層下部のAu電極層を介した電圧印加実験を行った.70 Vという比較的低電圧の単一パルス印加を行うことで,約8 mAの分極反転電流を観測し,1.8 μm周期分極反転構造形成に成功した.これはLiNbO3薄膜結晶厚さを0.7 μm,リッジ幅/高さを1.0 μm/0.4 μm,励起光波長を0.78 μmとした場合のQPM周期である.3.強光閉じ込めリッジ導波路作製低損失強閉じ込め導波路の有効な作製法として,LiNbO3結晶のLi+⇔H+プロトン交換部において化学的エッチング速度が増加するプロトン交換増速エッチング法をイオンスライス結晶に適用し,微細リッジ導波路の作製・特性評価を行った.200°Cの溶融安息香酸中におけるプロトン交換を1.2 h行った後,常温フッ硝酸エッチングを1 h行うことで,リッジ幅/高さが1.0 μm/0.4 μm (断面積0.7 μm2)である非常に微細な導波路を作製することができた. 波長1.55 μmにおけるTM /TE導波モード近視野像の光強度分布半値全幅はそれぞれ厚さ方向1.7 μm/1.8 μm,幅方向2.8 μm/2.6 μmであり,Ti拡散導波路やアニールプロトン交換導波路と比較してはるかに強い光閉じ込めが得られた.導波路の温度走査を行うことでファブリ-ペロー法により伝搬損失を求めたところ,TMモードで6 dB/cm,TEモードで7 dB/cmという結果を得た.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Electronics Letters
巻: 51 号: 12 ページ: 923-925
10.1049/el.2014.3958
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 54 号: 12 ページ: 128002-128002
10.7567/jjap.54.128002