研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,機械曲げ機構と圧電素子駆動型バイモルフミラーを組み合わせたハイブリッド型変形機構を持つ長尺形状可変ミラーの開発に取り組んだ.開発したミラーは,まず機械曲げ機構によりミラー基板両端に異なる曲げモーメントを与え,ミラーを近似的な非球面形状へと変形させ,その後残った高周期の形状誤差を圧電素子駆動型バイモルフミラーにより回折限界集光を達成可能な精度で形状を修正する.このようなシステムをとることで,圧電素子の担う変形量が減るため,圧電素子のドリフト量を減らし,形状の時間安定性が向上する.開発した長尺形状可変ミラーを用いて,変形テストを行ったところ,PV4 nmの精度で楕円形状を創成することに成功した.また,ミラー形状は2時間以上安定していることを確認し,高精度変形かつ長時間の安定性を有するミラーの変形機構の開発に成功した.開発した長尺形状可変ミラーを用いてSPring-8にて一次元可変集光および,二次元集光実験を行った.一次元可変集光実験は,ミラーの入射角を変更することで,ミラーの開口数を変化させ異なる2つのサイズのX線集光ビームの形成を試みた.明視野ナイフエッジスキャン法により,集光径を評価したところ半値全幅で127 nmと253 nmという回折限界条件と同じサイズの集光ビームの形成に成功した.また,長尺形状可変ミラーを用いてKirkpatrick-Baezミラー集光光学系を構築し,二次元集光実験を行った.集光径の評価を行った結果156 nm (垂直) × 175 nm (水平)の回折限界条件とほぼ同等な大きさのX線二次元集光ビームの形成に成功した.また,集光ビームの形成後走査透過型顕微法を用いてTa製のスターチャートの計測を行ったところ,1時間の計測中もビームは安定しており,最小で100nmの構造を分解することに成功した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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