研究課題
特別研究員奨励費
今年度は、我が国の高齢者の活動制限と社会経済的要因、通院中の疾患、精神健康との関連性について、健康寿命の長い都道府県と短い都道府県との相違を検討した。平成22年国民生活基礎調査の個票データから、世帯票および健康票を連結したのち、橋本(2012)がすでに算出している都道府県別の健康寿命に基づいて、男女ごとに健康寿命が上位10位までの都道府県(上位群)と下位10位までの都道府県(下位群)に居住する65歳以上の高齢者を抽出し、回答が完全な者を分析対象とした(男性:上位群7445名、下位群7607名、女性:上位群9549名、下位群9740名の4群)。分析項目は、①活動制限、②属性(性・年齢)、③社会経済状況(世帯構成(独居、同居)、就業の有無、等価支出)、④通院中の疾患(男女別に通院者の多い順に10項目)、⑤精神健康とした。分析は、4群ごとに、活動制限を目的変数、社会経済的要因、通院中の疾患、精神健康を説明変数、年齢を統制変数とする多変量ロジスティック回帰分析を実施した。分析の際、等価支出は中央値で、精神健康は5点をカットオフとしてそれぞれ2群化した。分析の結果、健康寿命上位群・下位群いずれにおいても、活動制限と関連を認めたのは、精神健康および男性の循環器系疾患による通院、女性の筋骨格系疾患による通院であった。さらに、健康寿命下位群においてのみ等価支出が有意な関連を認め、支出の高群の方が活動制限のオッズ比が高かった。したがって、健康寿命の短い地域でのみ、等価支出が高齢者の活動制限と関連している可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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