研究課題
特別研究員奨励費
樹状細胞ワクチンは、抗原特異的な免疫応答に重要である「樹状細胞」を用いて、人為的に抗原特異的免疫を誘起する技術である。申請者はこれまで、樹状細胞に対し、効率的に抗原遺伝子導入・免疫活性化を可能とするDNA封入ナノ粒子の開発に成功している。平成29年度においては、平成28年度において開発した、mRNAを効率的に樹状細胞へ導入可能なナノ粒子を用いて、ヒト実弾がん抗原を用いたmRNAワクチンの開発をおこなった。以前より樹状細胞への遺伝子導入に用いていた、KALAペプチド修飾多機能性エンベロープ型ナノ構造体(KALA-MEND)は、リポソーム内にpDNAを内封し、その表面にαへリックス構造を有するKALAペプチドを修飾していた。しかし、本システムではヒト臨床において用いられている抗原(実弾抗原)に対する抗原特異的な免疫応答の誘導は達成できなかった。そこで、より効率的に抗原遺伝子を導入可能なmRNAの応用を試みた。その際に、KALAペプチド修飾リポソームの表面に静電的相互作用により搭載した、KALAリポプレックスを用いた。その結果、KALAリポプレックスによりmRNAを導入する事で、KALA-MENDによるpDNA導入に比べ、50倍以上遺伝子導入効率が上昇した。また、樹状細胞型mRNAワクチンに適切なアジュバントを選定するため、4種類のアジュバントを抗原mRNA搭載KALAリポプレックスにより樹状細胞へ共導入し、マウスへ免疫した際の抗原特異的CTL活性について評価した。この際、抗原として、ヒト臨床で広く用いられるNY-ESO-1を用いた。その結果、いずれのアジュバントでも有意にCTL活性が向上する処理量が存在した。そこで、NY-ESO-1発現腫瘍に対する治療的抗腫瘍効果について検証したところ、モノホスホリルリピドAの共導入が最も強力な抗腫瘍効果を示す事を明らかとした。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Journal of Pharmaceutical Sciences
巻: 106 号: 10 ページ: 3113-3119
10.1016/j.xphs.2017.05.014
Mol Ther
巻: 印刷中 号: 4 ページ: 1003-1013
10.1016/j.ymthe.2017.01.020
120006425607