研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、アジア・太平洋戦争における将兵の読書の様相について明らかにし、戦場という読書空間の構造およびその変容を明らかにすることを目的としている。それにより、近代日本における「読書」概念がいかに変容してきたのか、その歴史を明らかにすることがねらいである。本年度は、最終年度として、研究の目的にそって、順調に調査をおこない、研究課題を達成することとなった。本年度はとくに3点の研究課題を重点的に進めた。まず「慰問雑誌の収集および目録作成」である。本年度までに、これまで国会図書館等での所蔵があまり進められていない慰問雑誌の収集をおこなってきた。そこで最終年度として、慰問雑誌のなかでも陸軍の依頼によって大日本雄弁会講談社が制作した『陣中倶楽部』の目録を作成し、今後はその成果を発表する予定である。つぎに、「戦場における書物の入手方法の調査」においては、具体的な成果を形にすることができた。昨年度までに行った国内外での発表や調査によって、中国における複数の研究者・研究機関の支援、連携を得ることができた。そして本年度は、武漢・広州にて兵士用文庫の調査をおこなうこととなった。その結果として、日本軍が兵士用図書館を設置し、その図書館に所蔵され、敗戦後には中国に接収されていた日本語書籍の存在およびその来歴の一部を明らかにすることとなった。最後に、これまでの実証的な調査による「兵士という読者」のイメージと、小説内に描かれてきた「兵士という読者」のイメージが、いかに関連しあい、現在におけるイメージが形作られてきたのかについて考察をおこなった。そして、この成果は論文として発表することとなった。以上の研究を通して、アジア・太平洋戦争における兵士の読書行為に対する輻輳的な状況が明らかとなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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早稲田大学大学院教育学研究科紀要(別冊)
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リテラシー史研究
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名古屋大学国語国文学
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40020651282
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