研究課題
特別研究員奨励費
本研究では,帯電液滴重畳反応性プラズマジェットによる高分子薬剤の高効率細胞内導入実現を目的として,大気圧プラズマ照射が誘発する薬剤(遺伝子,タンパク質,抗がん剤)の細胞膜輸送機構を明らかにする実験を行った結果,以下のことを明らかにした.1.大気圧プラズマ照射HEPES緩衝生理食塩水(HBS)中に形成される化学反応系の理解: 前年度までに,プラズマ直接照射中にはOHラジカルが支配的に生成されることを明らかにしていた.今年度は,OHラジカルの主な反応相手として溶液に多量に含まれる有機物であるHEPESに着目して,化学反応系の理解を試みた.HEPES酸化物のESR測定及び各種選択的化学プローブによる検討の結果,プラズマ照射HBS中では,HEPESのラジカル化が持続的に起きており,数分に亘ってO2-/ONOO-といった短寿命活性種の低ドーズ放出が起きていることが示された.2.プラズマ照射HBS中の持続的O2-/ONOO-生成が誘導する細胞膜輸送の測定: 前年度までに,プラズマ照射HBSがTRPチャネル介在性の薬剤模擬分子摂取を誘導することを明らかにしていたが,上記のO2-/ONOO-との関連を調べた. O2-の不均化酵素であるスーパーオキシドディスムターゼを用いて,O2-が関わる反応系の関与を見出した.さらに,既存のONOO-ドナーであるSIN-1の添加によって,プラズマと同等の効果を得たことから,主要な作用因子はO2-/ONOO-である可能性が極めて高いと結論付けた.以上より,本研究では,第一にHBSに大気圧プラズマを照射することで,従来法に比べ極めて低いコスト(1/10000以下)でO2-/ONOO-を数分間に亘って供給する特異な反応系を形成できることを発見した.第二に,この反応系を細胞に作用させることで,TRPチャネル介在性薬剤摂取を促進可能であることを実証した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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