研究実績の概要 |
Henrik Bachmann氏との多重Eisenstein級数の研究は, 大いに進捗し, 多重 Eisenstein 級数で生成されるベクトル空間の代数構造の研究における基本的な結果を得た. これは論文にまとめ, 投稿中である.
Gangl-Kaneko-Zagierにより発見されたある2重ゼータ値の線形関係式とモジュラー形式の周期多項式との関係 一般化するという問題がある. これに対し, 申請者はFrancis Brown氏により提唱された純奇多重ゼータ値の議論の類似を考え, ある3重ゼータ値とモジュラー形式の間の対応を与えることができた. これは, Arizona大学博士3年生のDing Ma氏との共同研究となった. 申請者はDing Ma氏を2015年11月に1ヶ月間招聘し, 短期集中してこの問題に取り組み, 共同で論文を執筆した. 研究に使われた道具は, Francis Brown氏により発展されたmotivic Galois群の余作用を用いた関係式の研究に, 申請者が博士論文で開発した技術を応用したものである. さらには, Zagierによるある2重ゼータ値の研究も役立っている(Ding Ma氏はこの研究に精通していたという点で, 最良の共同研究者であった).
本年度は, Max Planck研究所に応募するものの採択をもらえなかった. しかし, 2016年2月にFrancis Brown氏を訪問することができ, 申請者の純奇多重ゼータ値の研究やBroadhurst-Kreimer予想に関する研究について, 大変有意義な研究討論を行った.
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