研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、近世文学界で長年論争が続いている井原西鶴(1642~1693)の浮世草子の偽作・補作説や成立年代への疑問を、西鶴の文章と門下の北条団水(1663~1711)をはじめとした西鶴周辺の作家の文章と比較分析し、文章の計量的観点からこれらの解明を試みることを目指している。本年度は、①西沢一風、江島其磧、夜食時分、西鷺軒橋泉、片岡旨恕の計8作品のデータ化、②西鶴の文章と団水の文章の計量的比較分析、③遺稿集の著者についての検討に重点を置き、研究を行った。①西沢一風『新色五巻書』、江島其磧『傾城禁短気』、『けいせい色三味線』、『けいせい伝受紙子』、『世間娘気質』、夜食時分『好色万金丹』、西鷺軒橋泉『近代艶隠者』、片岡旨恕『好色旅日記』の文章データのデジタル化を行った。②著者の特徴が表れやすいとされる品詞、助詞の出現率等を分析対象とし、主成分分析とクラスター分析を用いて検討した結果、西鶴の文章の特徴と団水の文章の特徴が異なることを明らかにした。③門弟の団水による偽作・補作が指摘されている西鶴遺稿集の文章に関して、西鶴と団水のどちらの文章と類似しているかを検討し、遺稿集と西鶴とが同様の特徴を示したことから、遺稿集の実質的な著者は西鶴であると判断するのが妥当であるという結論を得た。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Digital Scholarship in the Humanities
巻: Vol.30 号: 4 ページ: 599-607
10.1093/llc/fqu049
人文科学とコンピュータシンポジウム論文集
巻: Vol.2015 ページ: 15-22