研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、衝突銀河団中で発生した電離非平衡プラズマを初めて観測し、銀河団進化の様相を定量的に探ることを目的としている。これまで本研究では、すざく衛星の観測データを解析し、衝突銀河団Abell 754の最も高温な領域から、非平衡電離状態の兆候を世界で初めてとらえられた(Inoue et al. 2016)。さらに、XMM-Newton衛星のデータから、この領域付近に衝撃波が存在することを明らかにした。Abell 754は、衝突で生じた衝撃波による加熱で、電離非平衡状態が生じたというシナリオが示唆される。本研究では、このような銀河団進化の様相を、世界で初めて、観測的に明らかにした。また、本研究では、Abell 754と同様に、衝突銀河団Cygnus A clusterの電離状態を調査した。その結果、衝撃波加熱を示唆する高温領域を発見した。電離非平衡状態の有意な検出はできなかったものの、バルクモーションを検出し(銀河団としては3例目)、Cygnus A clusterの衝突の構造を明らかにした。さらに、本研究では、ひとみ衛星搭載Soft X-ray Spectrometer (SXS)を用いてペルセウス銀河団中心部のイオン温度を測定した。銀河団中からイオン温度を測定したのは、本研究が世界で初めてである。今回の測定の精度内では、イオン温度と電子温度に差異はなかった。以上に加え、本研究では、ひとみ衛星搭載軟X線CCDカメラの開発を行ってきた。打ち上げ前は、地上較正試験を行い、得られたデータから応答関数を構築した。その後、ひとみ衛星は2016年2月に打ち上げられ、SXIは正常に起動された。打ち上げ後の観測データから、軌道上における検出器バックグラウンドについて調査した。バックグラウンド強度は、すざく衛星と同程度であり、銀河団などの広がった天体の観測にSXIが有用であることを示せた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 6件)
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