研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、イヌの腫瘍治療を目的として免疫抑制因子Programmed death-1(PD-1)およびPD-ligand 1(PD-L1)の発現解析・機能解析を行う。さらに治療用抗PD-L1抗体を作成し、腫瘍罹患犬を用いた臨床研究を行い、その治療効果を評価することが最終目標である。前年度までにPD-L1発現解析による対象腫瘍の決定、必要な量の治療用抗体の準備を終え、臨床研究を開始した。本年度は臨床試験を継続することとし、腫瘍罹患犬に治療用抗PD-L1抗体を投与し、安全性や治療効果を評価したところ、悪性黒色腫または未分化肉腫罹患犬の一部で腫瘍が明確に縮小したほか、肺転移のある悪性黒色腫罹患犬では生存期間が延長された可能性が示された。この臨床試験では延べ9頭の腫瘍罹患犬に対し各々複数回の抗体投与を行ったが(総数63回)、タンパク質製剤を投与したことに起因するアレルギー反応等の有害事象は観察されなかった。また治療に起因すると考えられる自己免疫疾患等の免疫関連有害事象も観察されなかった。上記臨床研究の成果を原著論文にまとめ、Scientific Reports誌に誌上発表並びにプレスリリースを行った。さらにマウス腫瘍モデルにおいて抗PD-1/PD-L1治療と相乗効果を示し、イヌでの安全性がこれまでに確認されていた低分子医薬品2種類について併用治療を各2頭ずつ実施したが、明確な効果の増強は観察されなかった。本研究成果は抗PD-L1抗体がイヌ難治性腫瘍の治療薬として有用であることを明らかとし、さらなる評価の実施を強く後押しするものである。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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