研究課題
特別研究員奨励費
【TAM-X由来の腫瘍悪性化液性因子】を探索する目的で、採用第2年度目に行った培養上清サイトカインアレイの結果のみでは、【選出された候補因子をTAM-Xが放出した】のか【TAM-Xの影響で、がん細胞由来の放出量が増加した】のかを判断することができなかった。それを踏まえ第3年度目は、ボイデンチャンバーを用いて細胞同士(TAM-Xとがん細胞)が直接接触できないような系で共培養した後の【TAM-X】と【がん細胞】を別々に回収し、各細胞における発現レベルをフローサイトメトリーにより評価することで解決した。また、一昨年に行った【遺伝子発現解析】の結果、TAM前駆細胞であるMDSCとTAM-Xは非常に近い細胞腫であった。それを踏まえ、昨年度【TAM-Xが分化能を持つか否か】をin vitro実験系で評価した。しかし、このin vitro文化誘導条件はMDSCの分化に最適化されていたものであり、TAM-Xには適当でない可能性を否定できず、この結果だけではTAM-XがTAMへ分化する能力を持たないとは断定できない。そこで、実際の腫瘍組織内で分化能を示すか否かを確認するためにin vivo分化実験を行った。このように、昨年までに行ったいくつかの実験のうち、詰めが甘いと考えられる点について、よりしっかりと解明できるように、この1年間を取り組んできた。既存の手法では明瞭に検証できない仮説の場合は新たな実験系を構築するなどしてそれらを克服し、結論を出してきた。難しい課題に積極的に取り組み、途中で挫折することなく、粘り強く検証していく姿勢は、将来研究者として大成することを感じさせる。既存概念に囚われすぎることなく、綿密な情報収集と自ら得たデータに対するより深い考察を行い、より確実性の高い仮説を立て実証してきたことで、がん治療に応用できると期待される高いインパクトをもった研究成果を得ることができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Oncotarget
巻: 9 号: 13 ページ: 11209-11226
10.18632/oncotarget.24359