研究課題/領域番号 |
15J02118
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
作物生産科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 耕一 神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2016年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イネ / 光合成 / Rubisco / 小サブユニット / RT-PCR / メタボローム解析 |
研究実績の概要 |
イネRubisco小サブユニット(OsRbcS1-5)のうち、OsRbcS1は他のイネRbcSとは配列が大きく異なるなど、特異な性質を持つ。我々の以前の研究により、OsRbcS1は主要な光合成器官である葉身では発現しておらず、遺伝子組換えにより葉身のRubiscoに導入するとRubiscoの触媒速度を増加させる効果を持つことが明らかになった。そこで、OsRbcS1の代謝における機能を明らかにすることを目的として、アワ、トマト、ミヤコグサ、ブドウ、イヌカタヒバなど多様な植物が持つOsRbcS1の相同遺伝子の発現の器官特異性をRT-PCRにより詳細に解析した。その結果、OsRbcS1様RbcSは主要な光合成器官である葉では発現しておらず、非光合成器官や呼吸活性が高いと考えられる部位で発現が高い傾向があった。また、ブドウやイヌカタヒバなど進化的に古いRbcSを持つ種ではOsRbcS1様RbcSは葉でも発現していた。次に、OsRbcS1の発現抑制がイネ葉鞘の代謝に及ぼす影響を明らかにするため、OsRbcS1を発現抑制した形質転換イネを作出し、メタボローム解析を行った。イネの株元に砂利を被せて栽培し、軟白化させた葉鞘基部を用いた。その結果、OsRbcS1発現抑制イネではアミノ酸や糖などの含量が変化していた。以上の結果より、OsRbcS1を含むRubiscoは、組織内のCO2濃度が高いと考えられる非光合成器官において、カルビン回路によらないリブロースビスリン酸の供給を受け、呼吸などの炭素代謝経路に3-ホスホグリセリン酸を供給する機能を担う可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OsRbcS1様RbcSの発現解析については、非光合成器官や呼吸活性が高いと考えられる部位で発現が高いことなど、様々な植物におけるOsRbcS1様RbcSの発現特性が明らかになった。また、メタボローム解析については、OsRbcS1の発現抑制が葉鞘のアミノ酸や糖の含量を変化させることが明らかになった。OsRbcS1様RbcSの発現解析に用いた植物のサンプルには、RNA抽出を阻害する多糖類やポリフェノールを多量に含む器官が多かったため、従来のRNA抽出キットを利用した方法ではRNA抽出が困難であった。阻害物質を多量に含むサンプルからでも効率的にRNA抽出が可能な新しいRNA抽出法を検討し、実験を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
OsRbcS1の代謝における機能の解析を継続する。OsRbcS1の発現を抑制した形質転換イネの葉鞘を用いてマイクロアレイ解析を行う。イネ光合成能力の改良を目的として、OsRbcS1が組み込まれた高活性型Rubiscoを持つ形質転換イネのRubiscoの含量を適度に低下させた二重形質転換イネを作出し、光合成特性や生育特性などの生理解析を行う。
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