研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、BaSi2太陽電池の更なる高効率化に向け、光吸収層の高品質化を行った。一般に、多元素を同時供給する化合物半導体の成長では、それぞれの堆積レート比が結晶の諸特性に大きな影響を与えることが知られている。よって、高品質な化合物薄膜太陽電池を作製するうえで、それぞれの原子比を制御することが重要である。そこで、BaとSiの堆積レート比RBa/RSiを変えたBaSi2/Si(111)を作製し、結晶性や電気・光学特性を評価することで、BaSi2 pnホモ接合作製に向けた光吸収層の高品質化を目指した。まず、X線回折と反射高速電子回折により、RBa/RSiが1.0から5.1までの範囲でBaSi2がエピタキシャル成長することを確認した。次に、分光感度測定を行った結果、RBa/RSiの変化に対して分光感度スペクトルが敏感に変化し、RBa/RSi=2.2の試料で分光感度が最大になった。また、キャリア密度を測定したところ、RBa/RSi=2.2に近付くごとに電子密度が減少し、RBa/RSi=2.0~2.6の試料ではn型伝導からp型伝導に変化した。また、最少のホール密度は1×10^15 cm-3であり、従来のキャリア密度よりも一桁程度小さい値であった。更に、第一原理計算により、BaSi2中のSi空孔がバンドギャップ中に局在準位を形成し、ドナーとして働きうることが予測された。よって、MBE成長中のRBa/RSiが最適値から外れたときにSi空孔が生成され、それらがドナー不純物として働いていると考えられる。また、RBa/RSiが2.0~2.6の範囲でBaSi2の伝導型がn型からp型に変わった理由は、Si空孔等の密度がSi基板に残留していた汚染B密度を下回ったために起こったと考えている。以上より、BaSi2太陽電池の特性改善のためには、RBa/RSiを精密に制御することが重要であることが分かった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Applied Physics
巻: 123 号: 4
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Japanese Journal of Applied Physics
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AIP ADVANCES
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10.1063/1.4939614