研究実績の概要 |
我々のグループ(E13)は、ハイパー核ガンマ線分校から隠しとラムダ粒子間に働く相互作用の研究や原子核内部におけるラムダ粒子の性質(磁気モーメント)変化の研究を行っている。ハイパー核とは通常の原子核にラムダ粒子(ストレンジクォークを含むバリオン)が束縛した原子核のことをいう。ガンマ線分光から測定されるハイパー核の微細なレベル構造の情報から隠しとラムダ粒子間に働く相互作用の研究を行っている。 E13グループでは、ΛN相互作用の研究を進めるため、J-PARCハドロン実験施設において、K中間子ビームを用いたハイパー核ガンマ線分光実験を実施している。これは、(K-,π-)反応を用いてハイパー核を生成し、ハイパー核励起状態から脱励起する際に放出されるガンマ線を検出する実験である。 2015年6月にE13グループは、フッ素標的を用いて19ΛFハイパー核ガンマ線分光実験のデータ収集を行った。データ解析の結果、入射散乱粒子の運動量を用いた解析から19ΛFハイパー核質量スペクトラムが得られ、19ΛFハイパー核生成事象の選択が可能となった。19ΛFハイパー生成事象を選択し、ガンマ線スペクトラムを確認した結果、19ΛFハイパー核から放出されたと考えられる315 keV(3/2+→1/2)、895 keV, 1267 keV ガンマ線ピークの観測に成功した。 今後のデータ解析で得られるガンマ線ピークの収量や生成角度分布、ガンマ線エネルギー等の情報から19ΛFハイパー核レベル構造の決定を行う。また、315 keVのガンマ線ピーク形状の解析からM1遷移(3/2+→1/2)の寿命を測定することで、換算遷移確率B(M1)を算出する。このB(M1)から間接的にラムダ粒子の核内磁気モーメントが算出可能となるため、自由空間における磁気モーメントと比較することでΛ粒子の性質変化について議論することが可能となる。
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