研究課題
特別研究員奨励費
難加工材料として加工効率の向上が求められる窒化ガリウム(GaN)基板研磨プロセスについて,化学機械研磨(CMP)メカニズムの解明に基づき,高効率研磨に向けた材料設計・プロセス設計を行った.OHラジカルを活性種として用いたGaN CMPシミュレーションを行った結果,摩擦界面においてSiO2砥粒と酸化したGaN基板との化学反応により砥粒-基板間でSi-O-Gaの結合が形成されることを明らかにした.砥粒と結合を形成したGa原子は砥粒の移動により基板から引き抜かれるGa原子の除去メカニズムを明らかにした.Ga原子の除去に対する高効率化に向けて,第一原理計算を用いて砥粒材料がGa原子の引き抜きプロセスに及ぼす影響について検討した.酸化したGaN基板と砥粒粒子をモデル化し,基板と砥粒が離れた状態(状態Ⅰ),砥粒が基板に結合した状態(状態Ⅱ),砥粒と結合する基板のGa原子が引き抜かれた状態(状態Ⅲ)をモデル化した.砥粒材料としてSiO2砥粒とナノダイヤモンド(ND)砥粒をモデル化し,砥粒材料がGa原子の引き抜きプロセスに及ぼす影響を検討した.状態Ⅰを基準として状態Ⅱと状態Ⅲのエネルギーを比較するとSiO2砥粒を用いた場合,状態Ⅱが+6.5 kcal/mol,状態Ⅲが+3.7 kcal/molであり,砥粒-基板間の結合形成とGa原子の引き抜きが吸熱反応となりSiO2砥粒によるGa原子の引き抜きプロセスは進行しづらいことを明らかにした.ND砥粒を用いた場合,状態Ⅱが+1.4 kcal/mol,状態Ⅲが-5.9 kcal/molであり,Ga原子の引き抜きが発熱反応となりND砥粒によるGa原子の引き抜きプロセスはSiO2砥粒と比較して進行しやすいことを明らかにした.この結果を基に,ND砥粒を用いた実証実験をおこない従来のSiO2砥粒を用いたプロセスと比較して10倍以上の加工効率の向上に成功した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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ACS Applied Materials & Interfaces
巻: - 号: 18 ページ: 11830-11841
10.1021/acsami.5b11910