研究課題
特別研究員奨励費
ERα陽性の乳癌患者は全乳癌患者の60%近くを占め、ERα標的の内分泌治療薬が臨床応用されている。しかし、内分泌治療耐性がんの出現が乳癌治療において大きな難関である。昨年度までに① ERα陽性乳癌細胞で、乳癌のオンコプロテインとして報告されているYB-1発現誘導によりHER2発現を亢進しERα発現を低下させること。② YB-1発現誘導は、ERαのユビキチン化の増加とERαのプロテアソームでの分解を亢進させること。を明らかにした。そこで、本年度は、YB-1発現誘導時の内分泌治療薬とHER2標的薬の治療効果を検討し、以下の点について明らかにすることができた。[1]ERα陽性乳癌細胞より、親株よりERα標的薬であるfulvestrantに対し約500倍の耐性を示すfulvestrant耐性株を樹立した。耐性株においてYB-1の活性化に加え、ERα発現の減少とHER2発現の上昇が観察された。[2]耐性株においてERαのプロテアソームでの分解が促進し、安定性が低下していることを明らかにした。さらに、親株及び耐性株についてYB-1発現を抑制した際のERα及びHER2発現を検討した。その結果、YB-1の発現抑制によりERαの発現が上昇しHER2発現が低下した。[3]Fulvestrant耐性株においてYB-1が耐性に関与するか否か明らかにするため、YB-1発現抑制時のfulvestrant及びlapatinib(EGFR/HER2標的薬)の感受性について検討した。YB-1発現抑制によりfulvestrantに対し感受性となり、lapatinibに対して耐性を示した。本年度の研究において、YB-1が内分泌治療薬とHER2標的薬の感受性を制御することを明らかにした。さらに、YB-1を標的とすることが内分泌治療薬の耐性克服に貢献できることを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cancer Research
巻: 77 号: 2 ページ: 545-556
10.1158/0008-5472.can-16-1593
http://shuyo.phar.kyushu-u.ac.jp/