研究課題
特別研究員奨励費
昨年度までの研究においてアセトニル基をもつノルイソプレノイド類(C5 x n + C3)であるC33のファルネシルファルネシルアセトン(FFA)を天然物として初めて単離、同定した。この天然物ファミリーの生合成研究はほとんど行われていない。in vivo, in vitroにおいてスーパーオキシドによって非酵素的な反応が行われている証拠を増やすため、以下の実験を行った。①スーパーオキシドを分解する酵素(スーパーオキシドディスムターゼ:SOD)の遺伝子破壊株(⊿sodA)の脂質成分を分析したところ野生株よりも菌体あたりのFFAを多く生産した。そこに抗酸化物質(システイン、グルタチオン)を添加し、各々培養を行ったところ、菌体あたりのFFA生産量が両者とも減少した。⊿sodA内で発生したスーパーオキシドを抗酸化物質が消去し、生産されるFFA量が減ったと考えられる。②抗酸化物質(ジブチルヒドロキシトルエン)を添加、けん化処理を行った結果、生産率が減少し、酸素が反応に関与する証拠をさらに得た。③枯草菌でMK-7が基質であることを明確にするため、ヘプタプレニル二リン酸合成酵素の遺伝子破壊株(⊿HepS/T)を作成し実験を行った。⊿HepS/TはFFAを生産しないのに対し、MK-7を添加すると生産した。MK-7がFFAの前駆体であることが強く示唆された。また、今回見出した生合成系を利用して、枯草菌によって甲殻類の雄ホルモン(C18)と昆虫フェロモン(C18)を生産する事にも成功した。本研究は、ノルイソプレノイドの生合成経路として、スーパーオキシドによるビタミンK類(メナキノンやフィロキノン)の非酵素開裂反応を初めて提案したい。ビタミンKは微生物のみならず、ヒトを含めた動物や植物に広く分布しており、そしてスーパーオキシドは全ての生物で発生していると考えられる。この経路は他の生物でも利用されている可能性があると考えている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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