研究課題
特別研究員奨励費
ホモシステイン(Hcy)の血中濃度上昇は心血管病発症の独立危険因子として広く認識されているが、その機序の詳細については未だ不明である。私は、Hcy代謝酵素であるCystathionine β-synthase(CBS)の遺伝子欠損マウス(遺伝病ホモシスチン尿症モデル)の肝臓(脂肪肝)を解析し、脂質代謝の主要制御転写因子であるPeroxisome proliferator-activated receptor alpha(PPARα)の活性低下を見出した。さらにTR-FRET及びSPRアッセイにより、Hcy二量体であるホモシスチンがPPARαタンパク質に直接相互作用し活性阻害することを確認した。そこで本年度は、ヒトPPARαタンパクとホモシスチンの結晶構造解析を目指した。前年度に山梨大・大山拓次准教授(共同研究者)の協力を得てヒトPPARαリガンド結合部位(LBD)の高純度精製法を確立できたため、その活性確認(TR-FRET及びSPRアッセイ)と、リガンドとの共結晶化の条件検討を行った。種々の結晶化検討の末、hPPARα-LBD/ホモシスチン共結晶が得られ、播磨SPring-8のビームラインにてX線回折データを取得した。そして、現在までにPDB登録されているPPARα-リガンド結晶18種の最高分解能1.75Åを大きく上回る最高1.28Åの高分解能データの取得に成功した。その解析の結果、ホモシスチンはhPPARα-LBDの特定のCys残基にHcyとして共有結合することが明らかとなった。脂質性Mediatorが内因リガンドと想定されるPPARαのアミノ酸修飾による活性制御の報告例はかつてない。今後、この修飾がPPARαの機能制御(活性抑制)に繋がるか調べていく。以上の研究により、Hcyの新規作用点としてPPARαを提案した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
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