研究課題
特別研究員奨励費
HG002 と AK1 の2つの公開ヒトゲノムロングリードデータをもとに、アレル特異的メチル化の網羅的解析手法を検証・整備した。HG002ゲノムの解析では、昨年までにアレル特異的メチル化のゲノムインプリンティングとの関係及び特定のクロマチン修飾状態との関係を明らかにしたが、本年度は遺伝子発現データが利用可能なAK1ゲノムのデータ解析から、本手法でアレル特異的メチル化の観測された領域で、対応するアレル特異的な発現状態が観測されることを確認できた。特に興味深い例として、GNAS 領域にコードされた5つの転写物については転写物に応じて父方または母方またはその双方の染色体から転写・発現する複雑なアレル特異的発現状態が知られていたが、それと完全に整合的なアレル特異的メチル化状態を本手法により観測することができた。以上により、本手法で観測できるアレル特異的メチル化状態がDNAの機能的状態を知るために有意義なデータを提供できると結論した。本研究の観測手法は、15%程度の読取りエラーをもつロングリードを各々の相同染色体由来の集合へ分類することに基づいている。この分類が十分な精度で実行できる根拠を理論的に示すため、ロングリードに現れるエラーの種類(挿入・欠失・置換)を考慮した統計モデルにより、分類エラーの生じる確率を算出した。その結果、ロングリード中に現れる有用な変異の数の増加に応じて、分類エラーの確率が指数的に減少することを示した。これらの成果は、発現データの解析に協力を頂いた米アイオワ大学のKin Fai Au博士らと共著で論文にまとめ、現在投稿中である。また、本手法を応用して行ったメダカセントロメア領域のDNAメチル化状態の解析と、そのゲノム進化における意義についての仮説の議論を含んだ論文は、本年度Nature Communications に受理され、発表された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 1833 号: 1 ページ: 1722-1730
10.1038/s41467-017-01982-7
Bioinformatics
巻: 32(19) 号: 19 ページ: 2911-2919
10.1093/bioinformatics/btw360
https://github.com/hacone/AgIn