研究課題
特別研究員奨励費
本年度は家族性骨髄異形成症候群(家族性MDS)の原因遺伝子として絞り込んだ12の候補遺伝子のうちHLTFをin vitroの系にて機能解析した。最初にshRNAの系を用いHLTFをノックダウン(KD)したヒト赤白血病細胞株(HEL)を作成した。γH2AXの免疫染色実験により、γH2AX foci≧5の細胞数はコントロールに比し、有意にHLTFをKDした細胞で多く、HLTFをKDしたHELではDNA傷害がより蓄積されていることを明らかにした。次にHELにHLTFを過剰発現し同様の実験を施行した。γH2AX foci≧5の細胞数はコントロールに比し、変異体(MT)を過剰発現した細胞において有意に多いことを明らかにした。HLTF野生型(WT)はユビキチン結合酵素であるUBC13と結合し、増殖細胞核抗原(PCNA)をポリユビキチン化することでerror-free(無謬性)DNA複製後修復の一旦を担うことが報告されている(Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Mar 11;105(10):3768-73)。HEK293T細胞を用いたHLTF過剰発現の系で、HLTF変異体とUBC13の結合がHLTF野生型との結合に比し減弱することが免疫沈降法により明らかとなった。最後にHEK293T細胞を用いたHLTF過剰発現の系を用いて、ポリユビキチン化されたPCNAを免疫沈降法により測定した。HLTF変異体(MT)を過剰発現した細胞では、野生型を過剰発現した細胞に比べ、ポリユビキチン化されたPCNAが減少していることを明らかにした。以上により、家族性MDSにおけるHLTF変異によりPCNAのポリユビキチン化が損なわれ、DNA損傷が蓄積することが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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