研究課題
特別研究員奨励費
認知症予防・治療には、明白な認知機能障害が生じる前に対策を実施する必要がある。本課題は早期に低下する認知機能に着目し疫学研究を実施した。双生児研究法により、遺伝・家庭環境要因を調整し変数間の関連が検討可能である。加え、表現型の分散が遺伝・環境要因からどの程度影響を受けているか検討可能である。抗酸化能力のある栄養素(ビタミンC、ビタミンE、αカロテン、βカロテン)と短期記憶の関連を、双生児研究法を用い検討した。抗酸化物質摂取量は短期記憶得点と有意な関連はなく、遺伝・家庭環境要因の調整後でも同様であった。ビタミンE摂取量と年齢の交互作用項は、遺伝・家庭環境要因調整後も短期記憶得点に対して有意であった。加え、ビタミンE摂取量が大きい群では短期記憶得点と年齢の負の関連度合が小さかった。脳体積と脳活動の分散に遺伝要因が占める割合(遺伝率)を双生児研究法を用い推定した。言語に関する脳活動は脳磁図により計測され、左前頭葉のlow-γ帯域の事象関連脱同期の遺伝率は約50%と推定された。脳体積はMRIにより計測され、総脳体積は90%、灰白質体積は91%、白質体積84%の遺伝率が推定された。先年度より乳製品摂取量が認知機能と関連が見られたので、その特徴的な栄養素であるカルシウムに着目した。地域在住60歳以上の米国人から収集されたデータを用い、血清カルシウム濃度と認知機能の関連を検討した。男性において血清カルシウム高値群は低値群と比較して、有意に認知機能得点が低かった。女性では有意な関連は認められなかった。本研究により、遺伝要因に関わらずビタミンE摂取が加齢による認知機能低下を緩和する可能性が示唆された。加え、男性において血清カルシウム濃度が認知機能低下の指標になる可能性が示された。認知機能と深く関連のある脳体積と脳活動に遺伝要因が影響していることが示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
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