研究課題
特別研究員奨励費
神経回路網の形成において、神経幹細胞(NSCs)及びミクログリア(MG)が重要な役割を担う。NSCsがOCTN1のin vivo基質であるergothioneine(ERGO)を細胞内に取り込むことにより神経分化を促進することを見出したが、その詳細な細胞内メカニズムは不明である。また、MGにおいてOCTN1が機能的に発現することを見出したが、その役割は不明である。これら不明な点を明らかとし、神経回路網形成制御メカニズムの一端を解明することを、本研究の目的とした。まず、ERGOによるNSCsの神経分化促進の細胞内機構について検討した。培養NSCsへのERGOの曝露は、mTORC1及び神経栄養因子シグナルの活性化を介し神経分化を促進した。ERGOを2週間経口投与したマウスの海馬歯状回においても、mTORC1及び神経栄養因子シグナルの活性化が確認された。次に、MGの免疫応答におけるOCTN1の関与を検討した。ERGO存在下では、リポ多糖により活性化された培養MGにおける細胞内活性酸素種の産生及び細胞体の肥大化が抑制された。またOCTN1の発現抑制により、活性化MGにおける炎症性サイトカインの産生は増加した一方、ERGO曝露は著明な影響を及ぼさなかった。MGにおいてOCTN1は、ERGOを細胞内に取り込み活性酸素種の産生や肥大化を抑制する一方、ERGO以外の基質輸送により炎症性サイトカインの産生を負に制御する可能性が考えられる。以上より、NSCs においてOCTN1がERGOを細胞内に取り込みmTORC1及び神経栄養因子シグナルの活性化を介し神経分化を促進すること、MGにおいてOCTN1は細胞の活性化を負に制御することが示唆される。今後、ファージ抗体ライブラリを利用しOCTN1の中和抗体を作製し、発達段階・脳部位特異的なOCTN1の機能抑制による神経回路網形成への関与を評価する。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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