研究課題
特別研究員奨励費
落葉木本植物ポプラにおけるリンの転流と冬期の貯蔵を明らかにするために、実験室内でリンの回収・貯蔵を模倣した短期-落葉開芽系を用いて、放射性同位体リンを用いたオートラジオグラフィーを行なった。前年度に明らかになった落葉時の葉から幹へのリンの回収に加え、落葉後の個体では幹と根に非常に強くリンが集積されることを明らかにした。また、短期落葉-開芽系においてミクロオートラジオグラフィーにより明らかになった、幹の師部の柔細胞、木部の放射柔細胞・髄冠細胞へのリンの貯蔵が、細胞内において野外と同様に行なわれているかを確認するために、幹の電子顕微鏡観察を行なった。野外のポプラにおいて明らかになったリンの貯蔵構造であるグロボイド様構造が実験室内のポプラの幹においても多数観察された。樹木におけるリンの転流については、葉や枝におけるリンの測定等の研究は行われてきたが、その分子メカニズムについての報告は少ない。これまで、樹木におけるリン酸トランスポーターの解析は、主に葉において行なわれており、秋の葉における発現の上昇から葉からのリンの回収に関わると考えられるリン酸トランスポーターが報告されてきた。本研究ではリンの貯蔵組織である枝に着目し、年間を通した野外ポプラのRNAseq解析から示唆されていたリン酸トランスポーターの季節的変動の詳細を明らかにするため、qPCRによるPHT1メンバーの発現解析を行なった。その結果、枝において成長期特異的な高発現を示し、季節的なリンの転流への関与が示唆されるPHT1メンバーを特定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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