研究計画に沿って途上国における母子保健と子どもの教育に関する実証分析を進めている。
条件付きキャッシュトランスファープログラム(※学校への一定以上の出席率や予防接種を条件に貧困家庭に経済的支援をする政策)が母子の健康や子どもの教育に与える影響を分析した研究を行っている。第一に、母子保健に関する研究では、フィリピンで行われている条件付きキャッシュトランスファープログラムが、介入を受けている2歳未満の子どもの予防接種率や母親の産前産後ケアの受診率を改善したかを分析した。実際に現地に赴き、この政策に詳しい研究者からの助言や、実際にこの政策を実施している政府関係者に話を聞くなどし、政策の理解を深めた。二次データを用いて分析を行い、結果は現在雑誌へ投稿準備中である。第二に、子どもの教育に関する研究では、ジャマイカで行われているプログラムが、介入を受けている家庭の教育費を増やしたかどうかを分析した。データは、当該国で取得された二次データを使用した。本研究は、昨年度から取り組んでいるものであり、分析方法の改善などを踏まえて論文の推敲を重ねた。また、母親の福祉に関する研究として、子どもをもつ母親と父親を対象に一次データを取得した。データ収集はラオスの首都ビエンチャンにて昨年度行った。家庭の意思決定を誰が行うかについて、妻と夫がそれぞれどう認識しているかが、母親の主観的幸福感に与える影響を明らかにしようとするものである。近日中に雑誌に投稿予定である。
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