研究課題
特別研究員奨励費
植物内生糸状菌由来のallantopyrone Aとpyrrocidine A、放線菌由来のbarminomycinは、がん細胞の増殖を強力に抑制するが、医薬品やバイオプローブ(細胞機能調節物質)への応用において、薬剤の標的分子を同定し、作用機序を明らかにすることが求められる。そこで本研究では、これらの化合物が細胞内で直接結合する分子を明らかにし、それに起因する抗がん作用を中心とした細胞応答との関連性の解明を目的とし、本年度は以下の結果を得た。Allantopyrone Aが、親電子物質のセンサータンパク質であるKeap1に直接結合し、がんや炎症の抑制に関与するKeap1-Nrf2経路を活性化すること、さらに、PC12細胞を酸化ストレス誘導性細胞死から保護することを明らかにした内容について、論文掲載された。Pyrrocidine Aは、これまでにPI3K/Aktシグナル伝達経路のリン酸化を阻害することを明らかにしてきた。そこで、本経路の最上流部に位置するPI3Kに対する阻害活性を解析した結果、PI3Kαのキナーゼ活性をIC50 = 0.93 μMで濃度依存的に直接阻害することを明らかにし、pyrrocidine Aの標的分子の1つがPI3Kαであることを示した。さらに、キナーゼ阻害剤は一般的に特異性が低いとされるが、解析した39種のキナーゼの中で、pyrrocidine AはPI3Kαのみを選択的に阻害することも見出した。Barminomycinは、同様にDNAに共有結合する臨床抗がん剤cisplatinの例に基づき、アビジンアガロースビーズとビオチン化ヌクレオチドを利用して、barminomycin-DNA複合体の固定化担体を作成し、がん細胞株から結合タンパク質の探索を試みた。しかし、残念ながら本担体に特異的に結合するタンパク質は検出されなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 7件、 招待講演 2件)
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