研究課題
特別研究員奨励費
採用第2年目は主に、オレイン酸系ベシクル(リポソーム)の運動を、疑似的に作製した定常pH勾配下で観察することで、ベシクルに及ぼすpHの絶対値とpH勾配の影響を定量的に調査した。そのために、理論上では化学物質の濃度勾配を定常的に保てる装置を用いて、安定したpH勾配を形成させるための実験を、試行錯誤を繰り返しながら可能とした。本研究のベシクル運動は、周囲の塩基性溶液がオレイン酸系ベシクルを引き寄せる力によって生じる回転運動と回転運動がおこるための高いエネルギーの状態にベシクルをポンプアップする反転運動で構成されているが、本実験方法を用いれば運動しているベシクルの周囲のpH等が算出できることに着目し、オレイン酸系ベシクルの運動の中でも特に回転運動に必要な駆動力を、ベシクルの回転に必要なモーメントとそれによって生じる抵抗力から推算することができることを見出した。他に、液滴移動法を用いて作製され、球状で一層の二分子膜からできていると推察されるオレイン酸系ベシクルを、pH勾配下で蛍光共焦点顕微鏡を用いて観察し、ベシクル運動中のベシクル断面の観察を試みた。さらに、細胞の動特性には、細胞内での様々な振動反応が複雑に関与していると考えられていることから、単純なベシクル内で振動反応を発生させ、細胞動特性をモデル化する系として発展させることを考えて、そのための第一段階として、ベシクルの構成物質や振動反応に用いる化学物質の組み合わせについて様々に検討した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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オレオサイエンス
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Bulletin of the Chemical Society of Japan
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Colloid and Interface Science Communications
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