研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、ダウン症随伴急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL)における白血病幹細胞の同定と性質解明を目的とした。第一に、DS-AMKL細胞(超免疫不全マウスへの継続的な移植を経てAMKLへと進展した、TMD患者由来の細胞ライン)を、超免疫不全マウス(NOGマウス)に異種移植することにより、白血病細胞を安定的に増幅・供給できる実験系の樹立に成功した。同マウスにおいて、巨核球特異的CD41a表面形質を発現するAMKL様病態の形成を確認し、また最適な解析タイミングを見出すことができた。同マウスを用い、白血病幹細胞濃縮分画を単離するための指標として、造血幹細胞や従来から多くの報告があった白血病幹細胞に特異的な表面形質であるCD34の有無に基づき、白血病細胞の分画化と移植実験を行った。その結果、CD34陰性・ヘキスト高染色性細胞集団(MP-fraction)移植群において白血病発症を認めた。さらにCD34陰性分画の中で、白血病発症マウスに抗癌剤(5-FU)を投与した際に増加が認められた、ヒト造血幹細胞の指標となるCD45RA陰性細胞分画、同じくヒト造血幹細胞の指標となるCD49f陽性細胞分画に着目し、各細胞表面マーカー陽性集団、陰性集団をそれぞれ単離して移植実験を行った。CD45RAおよびCD49fの発現の有無に関わらず白血病の発症を認めたことから、本白血病における白血病幹細胞はCD34陰性分画中に広く分布することが示唆された。多くの骨髄性白血病において、CD34陽性分画に白血病幹細胞が濃縮されるという報告が多い中、本AMKLは非常に珍しい型の白血病であると言える。今後、真の白血病幹細胞濃縮分画を単離し、詳細な機能解析を行うためには、白血病細胞全体の中で非常に大きな割合を占めているCD34陰性分画から、細胞周期進行度といった別の指標を用いて候補分画を絞り込んでいく必要があると考える。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Front. Oncol
巻: 73 ページ: 221-227
10.3389/fonc.2016.00269