研究課題
特別研究員奨励費
現在の宇宙の大規模構造を織り成す銀河団では、星形成を終了した古い大質量銀河が大半を占めている。しかしこのような大質量銀河がいつどこでどのようにして形成されたかについては良く分かっておらず、我々天文学者が長年抱える大問題の1つとなっている。この問題を明らかにするため、銀河団の過去、つまり遠方の原始銀河団を観測し、銀河団銀河形成の姿を直接調べることが極めて重要である。理論的に一番の課題は、銀河団は自身のもつ高い重力エネルギーの開放によって超高温のガスで満たされているため、内部のガスは十分に冷えることができず、大質量銀河を形成するような活発な星形成活動を再現できないことにある。そこで近年では原始銀河団では外から大量の冷たいガスが直接供給されるのではないかと考えられている。このような背景の元、本研究では110億光年前の原始銀河団に着目し、すばる望遠鏡の近赤外と可視撮像装置を駆使してH-ALphaとLy-Alpha輝線の観測を行った。この二つの輝線は共に星形成銀河から放出されるものであるが、後者は前者と違い、周囲の中性水素によって散乱・吸収を受けるため、 両者の輝線強度を比較することで、原始銀河団コアに冷たい水素ガスがどれほどあるかを知ることができる。結果、銀河団コアではそれ以外の場所に比べて有意に強い中性水素吸収があることが観測的に初めてわかった。これはつまり原始銀河団コアには外から冷たいガス供給が豊富にあることを示唆しており、宇宙遠方の原始銀河団では今日みられる大質量銀河を加速的に形成できる環境にあることを示している。本結果は申請者の博士論文としてまとめられている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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