研究実績の概要 |
温度は地球上に常に存在し無くすことができない環境情報であるため、動物にとって温度への適応システムは必須である。本申請者は、動物の温度適応システムの解明をめざし、特に温度受容情報伝達 と温度適応のアウトプットの分子生理機構の解明をめざしている。 そのなかで、2014年度に、「光を受容する感覚ニューロンが温度を感知し、インスリンを分泌することで、腸などに働きかけ「全身」の温度適応を制御する」という予想外の結果を得た (Ohta, Ujisawa(共同筆頭著者) et al., Nature commun,2014)。そこで、この解析系を用いて、温度受容と適応に関わる分子の同定を行っている。 これまでにアメリカに3ヶ月留学し、共同研究を行ったところ、低温適応に関わるアポトーシス関連遺伝子(M60.2)がRNAエンドヌクレアーゼ活性を持つことが明らかになった。本年度の研究は、当初の計画通りに進み、M60.2に関しては、低温適応における機能細胞を同定するため、M60.2変異体へM60.2遺伝子を細胞特異的に発現させたところ、これまで低温耐性に関与することで知られていたASJ感覚ニューロン以外で表現型の回復がみられた。さらに、次世代シークエンサーをもちいたRNAシークエンスにより、いくつかの候補基質の中からアポトーシスに関わる遺伝子を単離した。所属研究施設には、次世代シークエンサーがないため、この解析を行うための次世代シークエンサー解析を共同研究で行った。GPCR型の新規温度受容体の単離に向けた解析や、温度受容ニューロンのカルシウムイメージング解析も当初の予定通りに進んでいる。以上のことから概ね予定通りに進捗している。
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