1. 膵癌マウスモデルによるHes1の機能解析 膵癌マウスモデルElastase1-CreERT2;KrasG12D;TP53R172H にセルレインを投与し、炎症を惹起させて腫瘍形成を促進させるモデルを使用した。Hes1 WT膵癌マウスモデルでは導入後2ヶ月で約半数に膵癌が形成された。一方で、Hes1 KO膵癌マウスモデルでは膵癌形成を全く認めなかった。Hes1 KOマウスにおいては、前癌病変(PanIN)を少ないながら認めたため、同病変の解析を行ったところ、Hes1 KOマウスでは形成されたPanINのgradeがほとんど低いままにとどまっていた。同病変はsenescence陽性であり、発癌率の差の原因となっている可能性が示唆された。 2. In vivoでのHes1 inhibitorの抗腫瘍効果の評価 In vitroでの膵癌cell lineに対する腫瘍増殖抑制効果は既に確認していたため、in vivoでの効果を検討した。まず、xenograftモデルを用いて、Hes1 inhibitorの指摘投与量、投与間隔、投与経路を検討した。最適な投与方法を確立した後に、膵癌cell lineをヌードマウスに移植した、xenograftモデルで、inhibitorの腫瘍抑制効果を確認した。投与群において有意に腫瘍体積、重量が抑制されることを確認した。また、主要臓器を組織学的に評価し、大きな障害がないことを確認した。
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