研究課題
特別研究員奨励費
交尾器形態は強い性選択の標的となるため,近縁種であっても頻繁に異なる形態を示すことが知られている。本研究では,キイロショウジョウバエと進化的に近いオナジショウジョウバエとモーリシャスショウジョウバエをモデルにオスの交尾器形態進化に関わる遺伝・発生・行動学的特性の解明をおこなった。先行研究において肛板(anal plate)の種間形態差に大きく貢献する遺伝領域が第二染色体上に推定されていたが,その解像度は1Mbを超えるものであり,どのような特性を持った領域が関与しているか不明であった。そこでイントログレッション系統を駆使し領域の絞込をおこなった結果,約17kbの範囲まで解像度を上げることができた。この領域中には2つの遺伝子が存在しているが,RNA-seq解析から転写産物は検出されておらず,この17kbの外側にある遺伝子の発現制御に関わるドメインが肛板の種間形態差に関与している可能性が浮上してきた。この可能性を検証すべく,エンハンサー解析にも着手したところである。また,複数のイントログレッション系統を用いた交尾行動解析から,1)特定の交尾器構造のみが如実に種固有の形態から外れる場合,2)形態的な変化はわずかであるが複数の交尾器構造が同時に異なる場合,の2パターンが交尾行動に変化をもたらすことがが見えてきた。効果の大きい突然変異の貢献だけでなく,効果の小さい突然変異が同調的に蓄積することでも種固有の交尾器形態が進化してきたと考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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