研究課題
特別研究員奨励費
昨年度までに、五員環側鎖上に塩基性官能基を1つ有するジ置換アミノ酸と、アルギニンの9量体(R9)をモデルペプチドとしたこれらのジ置換アミノ酸を含有するペプチドを作成している。本年度は、酵素に対するジ置換アミノ酸含有ペプチドの安定性の検討と、正常細胞に対する遺伝子導入が可能であるか検討を行い、合成したジ置換アミノ酸含有ペプチドの有用性を評価した。ペプチド安定性評価の結果、R9が加水分解酵素との接触により速やかに分解されることに対して、ジ置換アミノ酸を含有するペプチドは長時間の酵素への曝露に対しても安定であった。長時間の細胞との接触における高い細胞膜透過性や遺伝子導入効率は、血清や細胞中の酵素に対する安定性によるものであると考えられる。また、正常細胞としてBV-2細胞を用いて遺伝子導入効率を評価したところ、市販の遺伝子導入試薬と同等レベルの遺伝子導入が可能であった。ここまでの研究成果を基に、新たなジ置換アミノ酸として環状側鎖に塩基性官能基を2つ有する五員環状ジ置換アミノ酸を新たに合成した。また、このジ置換アミノ酸への変更による膜透過性への影響を調べるため、モデルペプチドは引き続きR9とし、この新規アミノ酸を含有する膜透過性ペプチドを作成した。L-(+)-酒石酸ジメチルを出発原料として、14工程を経て五員環状の側鎖に二つのアミノ基を有する新規ジ置換アミノ酸を合成し、合成したジ置換アミノ酸を用いてペプチド固相合成を行うことで、目的とする新規ジ置換アミノ酸含有ペプチドを合成した。今後、ジ置換アミノ酸の側鎖をグアニジノ基へと変換した誘導体の合成、作成したペプチドの二次構造解析、細胞膜透過性評価、DDSキャリアへの応用などの実験を行うことでデータ集め、これまでの結果と合わせて解析することで、今後の新たな膜透過性ペプチドの開発に有用なデータが得られるのではないかと期待している。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 24 号: 12 ページ: 2681-2687
10.1016/j.bmc.2016.04.031
Scientific Reports
巻: 6 号: 1 ページ: 33003-33003
10.1038/srep33003
巻: 6 号: 1 ページ: 19913-19913
10.1038/srep19913