研究課題
特別研究員奨励費
(1)現在、肺癌患者に放射線治療を施す場合、京都大学医学部附属病院では呼吸性移動を考慮した治療法が行われている。腫瘍近辺に事前に微小の金球を留置させ、その位置情報を基準に腫瘍の位置を推定して照射を行う。しかし、体内への金球挿入の非侵襲性、脱落の問題がある。そこで、金球を使用せずに腫瘍位置を推定する手法の開発を行った。(2)方法として、治療直前にCT及び赤外線カメラを用いて腫瘍及び体表面の位置情報を取得し、治療時には両者の相関情報を用いて赤外線カメラから取得した体表面の位置から腫瘍位置を推定する。現在治療器に搭載されているCTは呼吸1周期中における8カ所の腫瘍位置情報が取得可能であり、赤外線カメラを用いて同時系列における体表面の位置情報が取得可能である。(3)本研究では、これまでに治療を完遂した金マーカーを留置している患者のデータを使用した。金マーカーを腫瘍(標的)と見立て、(2)を仮想的に模擬して、体表面情報から標的位置の推定及び精度検証を行った。また、実際の治療及び本研究にて推定した標的の推定精度を比較し、実臨床適応化に向けた実現可能性の検討を行った。(4)結果、本研究にて得られた精度は従来の治療精度と同等であり、金球を体内に挿入しない場合でも精度を維持したまま推定が可能であることが示された。(5)本年度は当初の計画以上に進展した。3年計画にて本手法の開発を行う予定であったが、解析の際にプログラミングを駆使することで大幅な時間の削減を実現し、金球を使用せずに腫瘍位置を推定する手法の開発をほぼ達成した。本研究における結果の比較には、従来の治療法における推定精度が基準となるが、従来法における治療精度の結果内容は本年度中に国内及び国際学会の発表を行い、国際学術誌への採択を達成した。本研究の成果は当院の先生に譲渡し、学会発表及び国際学術誌等の投稿を行って頂く予定にある。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Medical Physics
巻: 43 号: 4 ページ: 1907-1954
10.1118/1.4944594