研究課題
特別研究員奨励費
平成29年度は,開発済みの追体験システムの改善,および行為主体感に関する認知心理学的実験を主に行なった.これまでのシステム開発の成果として,100 ms以下でアクチュエータが反応する系列を予め準備し,それを参加者に追体験させたところ,問題なく動作し100 ms以下での連続反応に成功していた.本年度は,さらにその精度を高め,約30 ms程度で反応できるようにシステムの改善を行った.また指の制御本数に関しても,昨年度は2本だったのに対して,本年度は4本まで制御できるようになった.システム開発と並行して,フィードバックが行為主体感に及ぼす影響についても検討した.実験参加者は,ある固定方向に一定速度で進むドットを左右の矢印キーを使って進行方向を制御し,特定の位置にあるターゲットまでドットを運ぶ課題を行った.実験では,矢印キーが押されてからドットの運動方向が変化するまでの時間間隔を複数用意し,実験参加者には,ドットの運動方向の切り替えには少し時間がかかる場合もあり,また参加者のキー押しは無視されることもあると伝えた.ターゲットの色はランダムなタイミングで変更され,白色が呈示されているタイミングでドットがターゲットに到達すると「成功」というフィードバックが与えられ,青色だった場合は「失敗」というフィードバックが与えられた.そして,試行後には,どの程度ドットを自在に制御できたのかを参加者に尋ねた(行為主体感).実験の結果として,ターゲットに到達するまでのプロセスが同程度であったのにもかかわらず,「成功」のフィードバック時は「失敗」のフィードバック時に比べて,行為主体感が高いことが明らかになった.これは,行為主体感が行為後に与えられるフィードバックによって遡及的に変調していることを示唆するものであった.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Quarterly Journal of Experimental Psychology
巻: -
Frontiers in Psychology
巻: 8 ページ: 937-937
10.3389/fpsyg.2017.00937
Experimental Brain Research
巻: 印刷中 号: 6 ページ: 1689-1700
10.1007/s00221-017-4933-4
Acta Psychologica
巻: 164 ページ: 169-180
10.1016/j.actpsy.2016.01.010
巻: 233 号: 10 ページ: 2767-2776
10.1007/s00221-015-4348-z