研究課題
特別研究員奨励費
メダカのメスは見知ったオスを配偶相手として受け入れやすく、見知らぬオスは拒絶する傾向にある。オスの受け入れやすさとGnRH3ニューロンの自発的発火頻度との間には相関があることが知られていた。通常、GnRH3ニューロンは2-3Hzほどで自発発火しているのに対し、オスを見ていたメスメダカにおいては5Hzほどの発火頻度を示すのである。ITR1 KOメスは初対面のオスに対する拒絶行動がほとんど観察されないことから、この行動異常とGnRH3ニューロンの発火頻度との間に相関があるかを検証した。その結果、オスを視認したかどうかによらず、ITR1変異体メスにおけるGnRH3ニューロンの発火頻度は低い傾向にあった。しかしながら、GnRH3ニューロンの発火頻度が低いということは、オスを拒絶する行動を誘導するはずである。そこで仮説として、ITR1はGnRH3ニューロン自身に発現しており、ITR1のKOによりGnRH3ニューロンが機能不全を起こしている、つまりオスを拒絶する行動を誘導する機能を失っている可能性を考えている。実際、ITR1 KOメスの行動における表現型は、GnRH3ニューロンをレーザーによりアブレーションした個体や、発生段階においてGnRH3ニューロンの移動に異常を示す変異体(cxcr4,cxcr7)と同様であり、この説と矛盾しない。ITR1がメダカ脳内のどの部分で発現するかについては未だ報告がないため、in situ hybridization法等を用いて検証する必要がある。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Frontiers in Zoology
巻: 13 号: 1 ページ: 21-21
10.1186/s12983-016-0152-2
Zool. Sci.
巻: 33 ページ: 246-254
http://www.nibb.ac.jp/press/2016/06/02.html