研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題では猫コロナウイルス(FCoV)を用いて、遺伝子変異による病原性獲得機構を明らかにすることを目的とし、以下の研究を遂行した。1)低病原性FCoVである猫腸コロナウイルス(FECV)と強毒である猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の遺伝子解析を実施し、病原性に関与する遺伝子変異を解析2)遺伝子変異による病原性の変化を調べるための基盤技術となるFIPV逆遺伝子操作系の確立1)病原性獲得への関与が示唆されている遺伝子領域4か所(ORF3c, 7b, スパイク蛋白質(フリン開裂部位、fusion peptide))について、日本で分離、検出されたFECV及びFIPVの遺伝子解析を実施した。その結果、①ORF3cではFIPV 6株中2株が欠損によるフレームシフトによって不完全な蛋白質をコードしていた。②ORF7bでは大きな変異は認められなかった。③フリン開裂部位では多くのアミノ酸変異がFIPVで認められたが、FIPV特異的な変異は見られなかった。④fusion peptideにおいて、FECV 10株の全てが1058番目のアミノ酸がメチオニンであったのに対し、FIPVは14株中10株が1058番目のメチオニンがロイシンに変異していた。以上の結果から、スパイク蛋白質fusion peptide領域の1058番目のアミノ酸変異がFIPVに特異的なものであると考えられた。この成果はFIPの診断法の発展に寄与するとともに、今後のFIPの病原性解析に有用であると考えられる。2)高いFIP起病性を有するFIPV C3663株を用いた、Bacterial Artificial Chromosome (BAC)システムによるFIPVの逆遺伝子操作系の確立を試みている。現在までにBACプラスミド(pBeloBAC)へC3663株ゲノム全長の約半分を組み込むことに成功している。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
The Journal of Veterinary Medical Science
巻: 78 号: 6 ページ: 1013-1017
10.1292/jvms.16-0059
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Archives of Virology
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10.1292/jvms.15-0237
130005112088